RPAを導入するなら業務フローを可視化しよう!

2020.11.13

2021.1.29

せっかくRPAを導入するなら、導入後、「想定よりも効果が得られなかった」「結局使わなくなってしまった」という事態は避けたいものです。

RPAを最大限に活用したいなら、まずは業務フローの可視化を行ないましょう。

しかし、業務フローの可視化を行なうには、現在の業務フローを正しく理解していなくてはなりません。どこにRPAを導入すれば良いのか、どのようにRPAを使っていくのかのイメージが湧かないためです。

今回の記事では、業務フローの重要性、フロー作成のポイントを解説します。

業務フローの作成が重要な理由

業務フローとは、業務プロセスを図式などで目に見える資料に落とし込んだものです。業務フローは、業務全体の流れを理解しやすくするために作成されるもので、RPAの導入においても重要です。

個々の業務を担当者だけが把握している状況では、業務同士のつながりが他の従業員からは見えにくいものです。しかしRPAを導入し最大限活用するためには、担当者の頭の中だけで現状把握を済ませるのではなく、個々の業務をすべて資料に落とし込み、誰から見ても理解しやすいよう可視化していく必要があります。

ここでは、業務フローの作成がなぜRPA導入に不可欠であるか、その理由を見ていきましょう。

重要な理由その1:不要な作業が見つけられる可能性がある

業務フローがあれば業務全体の流れを客観的な視点で見ることができるので、流れが理解しやすくなるだけでなく、課題や改善点を見つけやすくなります。

これまでの業務のなかには、慣例的に行なっていたけれど現在では意味がなくなってしまっている作業や工程があるかもしれません。そういった不要な作業を見つけられるという意味でも、業務フローの作成は必要といえます。

当然のように行なってきた業務は、担当者だけでは不要かどうか判断しづらいこともありますが、業務フローの作成により他の従業員にも認識・判断してもらうことができます。

重要な理由その2:ブラックボックス化した作業がなくなる

業務フローを作成することで、ブラックボックス化した作業をなくすことが可能です。

ブラックボックス化とは、担当部署への仕事のインプット・アウトプットはわかっているものの、間の工程がわからない状態のことをいいます。

特に、長年同じ担当者が行なっている作業は、ブラックボックス化しやすい傾向にあります。その担当者しか対応できない作業があると、担当者の人事異動・退職によって誰も作業ができなくなるという事態が起こってしまうのです。

しかし、きちんと業務フローを作成しておくと、ブラックボックス化した作業が目に見えるかたちとなり、別の担当者が工数を把握しやすくなります。初期の担当者がいなくなっても、エラーの際に誰かがメンテナンスできるよう業務フローを整備しておきましょう。

重要な理由その3:RPA導入がスムーズに

RPAを導入したら、ロボットに業務を任せるためにシナリオを作成する必要があります。

業務フローの可視化で作業内容を明確に定義しておくと、このシナリオ作成がスムーズです。

しかし、RPAといえども常に完璧に稼働するわけではなく、ときにエラーを出してしまったり、シナリオどおりに動いたとしても作成時に望んだ動きをしなかったりする可能性もあります。

そのため、RPAを運用し始める前には、1本のシナリオだけでなく想定されるリスクをできるだけ想定し、トラブル時に対応する二の矢・三の矢を用意しておきましょう。先にトラブルに対する対応策を考えておくと、シナリオどおりに動かなかったときにも落ち着いて対処できるようになります。

重要な理由その4:RPAの効果検証にも役に立つ

RPA導入を検討する理由のほとんどは、不要な作業の見直しや効率化、それにともなう勤務時間短縮や人件費の削減を期待してのことと思います。そうであれば、ただRPAを導入するだけではなく、これまでの業務と比較して効果検証を行なう必要があるでしょう。

業務フローの作成は、RPA導入後の効果検証を行なう際にも役立ちます。現在の業務がどういった流れで行なわれ、どの部分にどれくらいの時間がかかるか、どのくらいのコストがかかるか、といったところまできちんと把握しておけば、RPA導入後にどの部分をどのくらい圧縮できたかが明確になるからです。

RPA導入のメリットを実感でき、コストとのバランスを考えたうえでさらに効率的なRPA活用も可能になるでしょう。

業務フロー作成の注意点

ここでは、業務フロー作成のポイントをご紹介します。以下の注意点を参考に、業務フローの作成を進めてみてください。

不要な作業を見つけたら削除する

RPAを導入時には、作成したシナリオをもとに作業をロボットに記憶させます。しかし、ロボットに任せる作業や工程が多いほど開発に時間がかかり、開発コストがかさむばかりか、運用後のメンテナンスにかかるコストも増えます。

そのため、業務フロー作成の際には、一連の流れを見直し、やめても問題のない不要な作業は削除しましょう。処理が少なくなるほどエラーの可能性を減らし、本当に必要な部分にだけRPAを活用できるようになります。

しっかり可視化する

慣例的になっていたり感覚でこなしていたりする業務のなかには、説明するのが難しい・煩わしいなどの理由で「ここらへんはRPAで難しいから大丈夫です」と担当者がはぐらかそうとする部分もあるかもしれません。

しかし、全部を説明するのが大変だ、面倒だといって中途半端にブラックボックスを残してしまうと、その後さらにブラックボックス化が進んでしまうおそれがあります。

特定の担当者だけがRPAを管理するのではなく、他の従業員にも仕組みを理解してもらうことが肝心です。RPAのブラックボックス化によるリスクをなくすためにも、業務フローによりしっかりと可視化しておきましょう。

RPA導入ができそうなポイントがないか確認する

RPA導入で業務効率化を図るには、RPA導入により効果が出そうな業務がないかを確認することが大切です。業務に携わっていない人間が現場の現状を把握するのは難しいので、現場の声を丁寧にヒアリングして業務の現状を把握しましょう。

ヒアリングの結果、現場の従業員からRPA導入に難色を示されるケースもあるかもしれません。現場で働く従業員の本音を引き出し、RPA導入に理解を得るためにも、日頃から密なコミュニケーションを心がけましょう。

可能であれば工数も把握する

RPA導入による効果の一つとして、業務の工数削減が挙げられます。工数のすべてを業務フローに書き込むのは難しいかもしれませんが、おおまかな工数データでも構わないので、できるだけ把握しておきましょう。作業工数を把握できれば、RPAの効果検証に役立つからです。

ただ導入するだけでは、RPAの効果を活かせません。RPA導入でどれだけの工数削減ができたかの効果検証をすることで、より効率的なRPA活用の方法が見つかることもあります。

RPAに必要な業務フローを作成するために必要なこと

業務フローの役割は、他の従業員と正確な情報を共有することです。業務フローを作成しても、内容が正しく伝わらなければ意味がないので、誰が見ても理解しやすい業務フローを作成する必要があります。

ここでは、RPA導入のために必要な業務フロー作成のポイントをご紹介します。

開始と終了を明確にしておく

業務フローを作成する際には、全体の流れを把握するために業務の開始時点・終了時点を明確にしておくのがポイントです。例えば、開始時点と終了時点に使用する図形や記号を決めておくなど、わかりやすい工夫をしておくと良いでしょう。

業務フローに記載する図形は、長方形やひし型などシンプルで見やすいものが望ましいです。あまり図形の数を増やしすぎると、全体の流れを一目で把握するのが難しくなります。最低限の図形を使って、業務のスタートとゴールを可視化しておきましょう。

時系列をはっきりと

時系列は一目でわかるよう明確に示しましょう。時系列がわからないと業務フロー全体がわかりづらくなります。自分だけが理解できるものではなく、誰から見てもわかりやすい業務フローを目指すことが肝心です。

なお、接続線が多すぎたり複雑に交差したりすることもわかりづらくなる一因となります。時系列順に図形が並んでいない場合は、並べ直して見やすくしておきましょう。

分岐条件をしっかりと

業務フローの作成時に加減が難しいのが、分岐表現です。分岐条件が明確でなければ、どの条件で次の工程に進めば良いのか判別しづらくなります。業務の流れを適切に把握するためには、分岐条件をしっかりと定めることが重要です。

とはいえ、複数の分岐条件があって複雑になりすぎると、かえってわかりづらくなってしまいます。分岐が多すぎる場合は、分岐が少なくなるようにまとめたる必要があります。業務フローでは簡潔にわかりやすく説明することを心がけましょう。

RPAを導入するなら、まずはしっかり業務フローを作成しよう

RPAの導入を考えているなら、まずはしっかり業務フローを作成しましょう。業務フローの作成によって慣例的に続けていた不要な作業の削減やブラックボックス化の解消が期待でき、さらには、RPA開発をスムーズにして効果検証にも役立ちます。

業務効率化を実現するためには、業務フローを見ながら、どこにRPAを導入するのが良いか考えることが重要です。今回の記事内容を参考に、RPA導入の効果を高める工夫を行なってみてください。

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