オフショアとは?オフショアにアウトソーシングする際に気をつけるべき3つのポイント

2021.05.14

2021.5.14

オフショアという、アウトソーシングの手段をご存じでしょうか。

企業の外部委託はあらゆる形で行なわれていますが、国内だけではなく海外への委託(オフショア)の活用も広がっています。人手不足が深刻化するなかでも、コスト削減や業務効率化などの効果が期待できる方法です。

今回は、オフショアがどういったものなのかを紹介したうえで、オフショア導入の際の3つのポイントやRPAとの関係について解説します。

オフショアとは

オフショア(offshore)とは英語で「そこ(岸)から離れること」を意味し、ビジネス上で使われる場合は、国内ではなく「海外」に自社業務の一部、あるいは全部を委託することをいいます。

オフショアリング」と呼ばれる場合も同義です。海外にある他社への委託だけではなく、自社の子会社へ委託する場合もオフショアと呼びます。IT業界では、特に盛んに活用されています。

日本よりも人件費の安い諸外国の企業や人材に業務を遂行してもらうことで、人件費や工数の削減を実現する手段です。

オフショアのおもな委託内容は、「IT開発」「工場での大量生産」「コールセンター」などが挙げられます。単純作業でマニュアル化しやすい業務において、オフショアが活用される傾向にあります。

オフショアとアウトソーシングの違い

上記のオフショアの説明を読んで、「アウトソーシングなのでは?」と思われる方もいるかもしれません。

しかし、前述したように、オフショアが自社業務を海外に外部委託することに対し、アウトソーシングは国内外問わず、自社業務を外部委託することです。つまり、アウトソーシングのなかにはオフショアも含まれるため、「オフショアにアウトソースする」という言い方もできるでしょう。

オフショアとニアショア

オフショアのほかには、ニアショアという言葉が使われることもあります。海外へ委託するオフショアに対し、ニアショアは「ニア=近距離」にアウトソーシングする意味で使われている造語です。この場合のニアは、おもに国内にある地方都市を指します。

例えば、「ニアショアにアウトソースする」という場合は、「地方都市に業務を委託する」という意味になります。自社のコスト削減や業務効率化に向けて、地方にアウトソーシング用の拠点を置いている企業もあります。

オフショアにアウトソーシングする際の3つのポイント

Difference Variety Diversity Teamwork Success

日本の人手不足が深刻化し、国内で業務を遂行するマンパワーを確保する難易度が高まっています。そのため、オフショアへのアウトソーシングを検討・導入する企業も増えてきているようです。

実際に導入する前に、オフショアにアウトソーシングする際のポイントを押さえておくとよいでしょう。

時差があることを理解する

当然のことながら、日本と海外には時差があります。国によって時差の幅が異なるため、海外に発注する前には「どのくらい時差があるか」「相手の国は今何時頃なのか」をきちんと確認しましょう。

ビジネスにおいては、ほんの1~2時間の時差でもコミュニケーションロスが起こりがちです。時差が大きいほど、その発生率は高いでしょう。また、サーバーの時刻設定が変わると、予期せぬシステムトラブルの発生もありえます。あらゆるやり取りや判断、決定の場面で、常に時差を念頭に置いておくことが大切です。

このように、オフショアにアウトソーシングする際は時差への考慮が必要ですが、その一方で、時差のあることがメリットとなる場合もあります。例えば、日本の夜の時間が、オフショア先では昼間にあたるような場合です。日本で稼働がストップする間にも、稼働時間中の海外に業務を進めてもらえます

ブラジルにオフショアする場合を例に考えてみましょう。日本とブラジルには12時間の時差があるため、お互いの昼夜が逆転している関係にあります。

日本の終業時にブラジルへ業務を依頼すれば、自社が非稼働の間でも作業を進めてもらえます。日本時間の夜20時は、ブラジルの朝8時です。日本側が出社して稼働時間に入る頃には依頼した作業が完了している、ということも可能でしょう。

言語が違うことを理解する

委託先を選定する際には、対応言語をはじめ、どのようにコミュニケーションをとっていくかをきちんと確認しましょう。なぜなら、海外への委託では、日本語以外の言語でコミュニケーションを行なうことが多いからです。

日本との契約に慣れた業者であれば、日本語でのやり取りが可能かもしれませんが、オフショア先の多くは英語で対応しています。日本語も英語も不可となると委託できない、あるいは業務ペースを落とさないための対策が必要となるでしょう。

また、委託先に日本語のできるディレクターやブリッジエンジニアを配置してもらうのも対策の一つです。ブリッジエンジニアとは、日本企業と海外への委託先との間に立って業務を円滑に進めるコミュニケーターを指します。すべてのやり取りを英語で行なうために、日本側にも英語ができる担当者をアサインして配置する必要があるでしょう。

遠隔の場合は、言語が業務上の意思疎通や伝達のための重要なコミュニケーションツールとなります。委託先の対応言語の確認、双方の使用言語のすり合わせは、事前にしっかり確認し合っておくことが大切です。

文化が違うことを理解する

日本は、諸外国とは大きく異なる独特の文化を持つため、どの国の文化と比較してもその違いは大きいものでしょう。お互いの文化について、どのような点で違っているのかを理解しておくことが重要です。

例えば、多くの国は日本以上にワークライフバランスを意識する傾向があります。そのため、コミュニケーションをとるうえでも、国内の相手とのようにスピーディーな返事がもらえず、トラブルになるケースも少なくありません。

宗教の違いも考慮しておくほうがよいでしょう。例えば、豚や牛などの動物を敬う国の相手に家畜の画像を求めても、豚や牛の写真はもらえないことがあります。

オフショアとRPA

企業の業務を効率化する手段として、オフショアを含むアウトソーシングのほかにRPAも広がっています。RPAとはRobotic Process Automationの単語から頭文字を取った略称であり、業務をコンピューターに任せて自動化するものです。

RPAを導入すると、日常的な業務や主要業務が最適化・効率化し、相対的なパフォーマンスの向上が期待できます。このRPAについては下記の記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてください。

オフショアに委任するような単純作業は、RPAの導入で効率化が可能です。特に、定型的な事務作業やデータ処理は、コンピューターに任せるメリットが大きいでしょう。

コンピューターなら長時間稼働しても、人間のように疲れてパフォーマンスやアウトプットの質が落ちることはありません。人の手で実行するよりも正確な処理が可能でミスが少ない分、業務がスムーズに進行します。

オフショアによるアウトソーシングとRPAの併用もおすすめ

オフショアのアウトソーシングと、RPAを組み合わせて活用する企業も増えてきました。

例えば、業務に含まれる単純作業や繰り返し作業、ルーティン化した作業などはRPAを使い、高度なスキルが求められる業務や変則的なタスクはオフショアを活用するといった使い分けも可能です。

オフショアとRPAの組み合わせで、業務をさらに効率化できるでしょう。最近では、オフショアの委託先もRPAを導入して効率化を図っている企業もあります。

オフショアやアウトソーシングを活用しよう!

オフショアは、海外の人材やその人材が持つスキルを自社に取り込んで利用する手法です。

オフショアに委任すると、コスト削減などのメリットがあります。ただし、リモートワークの普及や地域による給与格差が縮まっている状況もあり、RPAなど人に依存しない体制に移行する潮流になっています。

企業によっては、オフショアとRPAの併用が効果的な場合もあるでしょう。しかし、まずは自社にどのような課題があり、どのような成果を得たいのかをしっかり考えることが重要です。

デジタルワークスブログ編集室

デジタルワークスブログ編集室

デジタルワークスブログは、株式会社デジタルワークスが運営している「デジタライゼーション」をテーマにしたお役立ち情報を発信しているサイトです。

デジタルワークスブログ編集室は、株式会社デジタルワークスの社員により執筆・運営しています。 DXやデジタライゼーションに関するお役立ち情報を発信しています。

あなたにおすすめの記事

よく読まれている記事

この記事を見た人はこんな記事も見ています