RPAで働き方改革を推進!期待される効果や導入時のポイントを解説!

2020.11.19

2021.1.29

働き方改革が進められている現在では、RPAの活用が注目されています。企業の規模に関わらず、今後働き方改革をより推進するためには、RPAの導入が欠かせません。

この記事では、働き方改革の概要をわかりやすくまとめています。また、RPAが働き方改革において重要なポイントになる理由を詳しく解説します。

働き方改革とは?

企業が働き方改革を進めるには、国が目指している働き方改革の内容を詳しく知ることが重要です。ここでは、働き方改革の具体的な内容と社会的背景を解説します。

働き方改革の内容

善していく取り組みです。2019年4月から法案が施行し、ガイドラインも制定されました。

働き方改革のおもなポイントは「長時間労働の是正」と「公正な待遇の確保」です。

長時間労働の是正は、働きすぎを防ぐことで人々の健康を守り、個々の事情に合ったワーク・ライフ・バランスを実現する取り組みで、以下のような内容が盛り込まれました。

  • 時間外労働の上限は原則として月45時間、年間360時間
  • 月60時間を超える時間外労働は割増賃金率50%
  • 終業から翌日の始業までに一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル制度」
  • 労働者1人あたり年間で最低5日の有給休暇を取得させる義務

一方、公正な待遇の確保は、雇用形態の違いによる不合理な待遇差を解消し、柔軟な働き方を選択できるようにする取り組みで、以下のような内容が盛り込まれています。

  • 「同一労働同一賃金」のルール整備
  • 労働者の待遇内容や決定理由を、事業主が本人に説明する義務を強化
  • 各都道府県の労働局が、待遇差の紛争を裁判以外の方法で解決できるよう支援

このように、従来の法案ではカバーしきれなかった部分への対策が進んでいます。

働き方改革が導入された背景

日本は働き方に関するさまざまな問題を抱えています。恒常的な長時間労働が20代から40代に蔓延し、過労死が社会問題になったことから、労働環境への意識改革が急務とされてきました。

また、おもな労働力となる15歳~64歳の生産年齢人口が年々減少しており、2020年の時点で約7,476万人、2060年には4,418万人まで減少すると推測されています。

さらに、日本の労働生産性は他国と比較しても低さが目立ち、2018年は時間あたりのGDPがOECD加盟国の36ヵ国中21位、主要先進国7ヵ国では1970年以降ずっと最下位という状況です。

人口の減少が避けられない以上、働く人々の健康を守りながら生産性を高める必要があります。生産性の向上には業務の効率化が欠かせません。そこで注目されているのがRPAの導入です。

RPAとは?

RPAは「Robotic Process Automation 」の略で、本来人間が行なっていた定型的な事務作業を、ロボットによって自動化するシステムのことです。パソコン上で事務作業を行なう仮想労働者であることから「仮想知的労働者(デジタルレイバー)」とも呼ばれています。

産業用ロボットが、バイクや車などの製品を組み上げていくのは見慣れた光景になりました。それと同様に、パソコンのキーボードやマウス操作を含む事務作業に関しても、ロボットによる自動化が進んでいます。

メール送信やレポート作成、請求処理、表計算ソフトの編集など、ロボットに業務を明確に指示し、操作手順をレコーディングさせることで業務の大幅な効率化ができるのです。

詳しくはRPAについて解説した記事、「RPAとは?生産性を向上させるロボットの概要や導入メリットを徹底解説!」も併せてご覧ください。

RPAは働き方改革にどのような効果をもたらす?

RPAをうまく活用すると職場環境にさまざまなメリットが生まれ、働き方改革の推進に大きく貢献するでしょう。

ここでは、RPAが働き方改革にもたらす効果について、具体的に紹介します。

本当に必要な業務に集中できる

事務作業や定型作業が自動化できれば、その分の時間と労力を他の仕事に回せます。人間の判断や思考、コミュニケーション、創造性などが必要な、いわゆる「コア業務」に人的リソースを集中させられるため、個人が高い成果を生み出しやすくなるでしょう。

例えば、コールセンターの事務作業をRPAで自動化すると、情報照会の時間を短縮でき、顧客を電話口で待たせる時間も削減できます。オペレーターは余裕を持った対応ができるため、お客さま一人ひとりの声に耳を傾けるという本来のコア業務に専念できるようになります。

その他にも、ECサイトの運営にRPAを導入すれば、情報収集や商品登録などのルーティン業務をロボットに任せることも可能です。効率化できた分、より質の高い商品の開発や、効果的な販売戦略を練る時間が確保できるでしょう。

人件費が削減できる

RPAはロボットであり昼夜問わず24時間稼働できるため、深夜帯や休日出勤、残業を考慮した人材確保が不要になります。採用が不要になれば人件費が大幅に削減でき、企業全体のコスト削減が可能です。

現在、時間外労働や深夜帯労働では通常賃金の25%以上、法定休日労働では35%以上の割増率が適用されます。割増率は重複するため、例えば時間外労働が深夜帯になる場合は50%以上の割増賃金が発生する計算です。

このように、イレギュラーな時間帯での労働は人件費を大幅に増やす原因になります。

採用活動そのものにも経費がかかり、採用者1人あたり40万円前後が平均値といわれています。他にも新人の教育費用や指導する側の業務負担を考えると、RPAの導入によって人材に関するコストの削減が期待できるでしょう。

仕事の正確性が上がる

人間が長時間にわたって単調な作業を続けると、疲労によるケアレスミスの増加やモチベーションの低下が起こりやすくなります。ミスが発生すると、どこでミスをしたのかを発見する時間が余計にかかり、修正作業や再発防止策の検討も必要となってしまいます。

データをコピーして別のファイルにペーストする作業や、紙の申請書・請求書の数字データを目視でチェックして入力する作業は、ヒューマンエラーが起こりやすいケースです。

RPAの場合は、長時間同じ作業を行なったとしても深刻なミスはほとんど発生しません。人が行なうよりも作業の正確性が向上し、高い品質のまま業務を継続できます。ミスをフォローする時間もカットできるため、全体的に労働時間を短縮できるでしょう。

RPAの導入時に注意するべきポイントとは?

RPAを導入することで働き方改革が推進できる一方、導入時には注意するべきポイントがいくつかあります。RPAの特性や導入時の注意点を十分に認識したうえで、導入の可否を決めることが重要です。

得意なことと不得意なことがある

RPAは、同じ動作を繰り返し行なう作業を得意としています。具体的には以下のような業務で効果を発揮します。

カテゴリ業務内容

システム起動
自社システムの立ち上げ、パソコン内の各種アプリ(メーラー、Webブラウザ、Microsoft Office、会計ソフトなど)の立ち上げなど

表計算ソフト
セルへのデータ入力、コピー&ペースト作業、セルの範囲指定、データ集計、行・列の削除など

Webブラウザ操作
指定したURLの打ち込み、IDとパスワードの入力、画面上でのポインタの移動やクリック、画像や地図情報のコピー&ペースト作業、データの集計など

メール管理
メールの送受信、アドレスや文章テンプレートのコピー&ペースト作業、ファイルの自動添付など

ファイル・フォルダ操作
フォルダ名やファイル名の変更、データのダウンロードやアップロード、最新ファイルへの更新、画像データのリサイズ、文書のプリントアウトなど

一方で、AIのように自ら学習し考えて判断することはできないため、想定外の事態には対応できません。想定外の事態にもRPAに対応させるためには、人間側で例外の発生を何パターンも把握しておき、あらかじめ例外に対応する処理をRPAに教えておく必要があります。

費用対効果がプラスになるか検討する

RPAを導入する際、業務内容や規模によってはコストが膨大になるケースがあります。想定されるものとしては、導入前の準備コスト、ライセンス費用、教育コスト、保守費用です。

RPAを導入する前には、自動化できる業務とできない業務を選定する作業や、業務プロセスを可視化する作業が発生します。また、既存のハードウェアがRPA非対応の場合は、新たに購入する必要もあるかもしれません。

この他にも、RPAツールを利用するパソコンの台数によって、用意するライセンスの数も変える必要があります。ライセンス費用は提供企業によって異なるため、見積もりを出してもらうなどの準備が必要になるでしょう。

導入した後には、RPAツールに業務内容を設定するコストがかかります。操作をマスターするには、RPAのセミナー受講や運用サポートを依頼する方法が一般的です。操作に慣れてからも、業務プロセスの変更に応じたメンテナンスが必要になることを把握しておきましょう。

自社で抱えるすべての業務にRPAを導入するのではなく、どこにRPAを導入すれば費用対効果がプラスになるのか、注意深く検討することが重要です。

RPAで働き方改革を推進しよう

RPAをうまく活用することで、企業の働き方改革を推進できます。RPAを導入すれば大手企業のみならず、中小企業や小規模事業者が抱える課題の解消に大きく貢献してくれることでしょう。

ただし、企業それぞれの環境や状況、スタイルによって期待される効果は異なります。事前に業務の特性を把握し、十分に検討したうえでRPAの導入可否を決めることが大切です。

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