BPRとは?RPAを活用した事例とともに解説

2021.06.01

2021.6.1

近年、働き方改革が世間の関心事になると同時に、「BPR」という言葉が注目を集めています。

「企業の業務を抜本的に改革すること」を意味するBPRは、人材不足や労働生産性の向上に力を発揮するRPAを取り入れると、より効果的に推進することが可能です。

ここでは、BPRの概要に触れながら、「RPAを活用してどのようにBPRを進めていくのか」について、事例を交えながら解説します。

BPRとは 

BPRとは、正しくは「Business Process Re-engineering」といい、各単語の頭文字を取って呼ばれている略称です。日本語では「業務改革」ともいわれていますが、個々の業務改革ではなく、「抜本的な改革」を指す言葉になります。

BPRは社内業務のやり方を抜本的に見直し、企業活動を顧客や市場志向に一貫させ、そのプロセスを分解・再統合・最適化を行なうものです。社内業務一つひとつの業務フローに目を向け、現状の手順を見直して最適な手法に再構築し、生産性の向上や業務効率の改善を目的としています。

BPRという言葉が初めて登場したのは約30年前です。当時のアメリカにおいて、長期的な不況の影響で経営が落ち込んだ企業を立て直すための戦略として利用されたのが、始まりとされています。日本においても、バブル崩壊後の立ち直りに苦慮している企業が、革新的な手法だとして歓迎しました。

働き方改革で再注目されるBPRの現状

近年、日本では働き方改革が叫ばれるようになり、労働者の業務効率を向上させて国全体の生産性を押し上げるために、長時間労働の削減が求められるようになりました。

大手企業から中小企業までさまざまな取り組みが波及し、今では多くの企業が働き方改革の実現を重視しています。求職者や転職者が就職活動を行なううえでも、「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」を実現できることは、企業にとって必要不可欠な条件の一つになっています。

このように、生産性を向上させつつ長時間労働を削減してワーク・ライフ・バランスを重視した労働環境を実現するには、通常業務の改善だけでなく、企業や社会全体で大幅な改革を起こす必要があるといえるでしょう。

「日常のなかで業務の進め方を少し工夫する」のではなく、「そもそもの業務の進め方を丸ごと改革する」ことが重要です。そのために、業務を根本的に変えるBPRが注目されているのです。

BPRとRPA

RPAは、正しくは「Robotic Process Automation」 といい、各単語の頭文字から取って呼ばれている略称です。ロボットを通じて業務を自動化し、効率化するための手段を指します。

本来、RPA自体は「業務をロボットで自動処理するための考え方」を指し、厳密にはソフトウェアのことを「RPAツール」と呼んで区別します。しかし、実際にはまとめて「RPA」と呼ばれることも少なくありません。

RPAは人口減少や少子高齢化による人材不足を補い、生産性を高めるための有効な手段の一つです。業務を根本から構築し直すBPRにとって、RPAは強力なツールであり、さまざまな可能性を秘めています。

例えば、毎日行なう必要があるデータの加工・集計業務や膨大なデータ入力業務など、手順が決まっている業務をRPAに任せて自動化することで、これまで人の手で数百時間かかっていた作業時間をわずか数時間にまで短縮できた事例もあります。

BPRの手段としてのRPA

前述のように、RPAを業務に取り入れると、使い方次第で生産性を飛躍的に高められます。さらに、ロボットが作業を行なうため、正確性が上がります。ヒューマンエラーが起こりにくい状況になり、業務全体の精度向上が期待できるでしょう。

人の手で行なう作業は、どれだけ慎重に確認していてもミスをゼロにすることは難しいものです。しかし、RPAであれば決められた手順にのっとって黙々と同じ作業を続けられます。

このように、スピーディーかつ正確に作業を行なえるRPAを日常業務に組み込むと、これまで定型業務に割り当てていた時間を他の生産性の高い業務に割り振ることも可能になるでしょう。

現行業務の一部にRPAを導入するのではなく、現在の業務フローを見直したうえで、業務の根幹からRPAの利用を前提に置いた業務フローを設計すれば、より効果的にBPRを推進できます。

RPAを活用したBPRの事例

ここからは、BPRの強力な手段となり得る、RPAの活用事例を3つ紹介します。「自社の業務に取り入れられる箇所がないかどうか」を振り返って、有効な導入方法を考えてみましょう。

書面を人力で入力する業務をRPA化した

ある保険業界の銀行窓口では、これまで手作業で行なっていた窓口でのデータ入力業務をRPAに一部代行させることで省力化を図ることに成功しました。

例えば、保険金請求手続きが発生した際、契約者から送付された書類にバーコードが設置されており、そのバーコードに登録されている契約情報を社内システムへ登録する作業をRPA化しました。

手作業で手入力する時間を削減できたほか、データ入力後の認数を大幅に削減することに貢献しました。

人の手で行なうデータの入力業務は、入力後に信頼性を担保する意味で第三者が再度チェックする傾向にあります。ただし、ダブルチェック体制を敷くと正確性が上がる代わりに工数や人件費がかかることは避けられません。

RPAを導入すれば最初から正確なデータ入力が可能になり、確認作業にかかる工数を大きくカットできます。入力の手間を省くだけでなく、正確性やスピードも改善させています。

60万項目以上ある管理表の更新作業をRPA化した

あるエネルギー会社では、管理表の更新作業をRPA化し、年間470時間かかっていた作業を150時間まで短縮しています。

同社では60万項目以上ある管理表の更新作業を、これまですべて手作業で行なっていました。Excelのコピー&ペースト作業が膨大に発生するうえ、データの反映が抜けていたり入力ミスがあったりと正確性にも問題があり、これらの課題を解決するためにRPAの導入を決定しました。

業務フローを細かく洗い出し、どうしても手作業で処理しなければならない作業を残してすべてRPAで自動化することで、68%もの作業時間の削減を実現しています。

従来の作業では、更新部分だけを差し替えていました。しかし、RPAの導入にあたって毎回管理表を新しく作成するフローに変更したことで、工数が半減しただけでなく、データの信頼性も向上させることに成功しました。

ECサイトの在庫更新作業と注文メールの受注入力作業をRPA化した

手入力で実施していたECサイトの在庫更新作業と、注文メールの受注入力作業をRPA化したことで、1日に1回しか実施できていなかった定型業務を1時間に1回実施可能になりました。それにより、機会損失の防止と売上向上につなげた事例もあります。

在庫数の反映をRPAで自動化し、ECサイトの注文情報のなかから必要なデータだけをコピーして受注入力まで完了させ、月間約500万円の売上向上に成功しています。

RPAを活用してBPRを推進しよう

国内全体で働き方改革が重要視されている現状において、今後はより一層企業に対して社内業務のやり方を抜本的に改革するBPRが求められていくでしょう。特に、BPRはコモディティ化したビジネスで競争力を高めるための有効な手段となります。

その際に、重要となるのがRPAです。RPAを活用して業務効率の向上を図ることができれば、BPRは大きく前進するでしょう。

RPAの活用範囲は幅広く、工夫次第でさまざまな業務の自動化を実現できます。

今回紹介した事例も参考にしながら、RPAの活用によるBPRの推進に取り組んでみてください。

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