RPAとマクロの違いとは?RPAとマクロ適している業務も解説

2020.11.16

2020.11.24

RPAの対比としてよく出てくるとマクロですが、どちらもパソコンの定型作業を自動化するという意味では同じです。当然、自動化できる範囲や自動化するために必要な準備、プロセスなど、両者にはさまざまな違いがあります。

現行業務の状況や自動化のやり方によって、どちらを選ぶかの判断も異なります。どちらを選ぶか迷っている方は、まずは違いをきちんと把握しましょう。

この記事では、RPAとマクロの共通点と異なる点を併せて解説していきます。

RPAとマクロの共通点

RPAとマクロの共通点は自動化です。人の手を離れ、ボタン一つで一定の処理が完了する状態を作り出すことができます。時間起動する設定をすれば、開始のボタンを手動で押す必要すらありません。

マクロがoffice製品の操作に限定されることに対し、RPAはほぼすべてのパソコン操作を自動で完了させられます。特に、最近はWebアプリケーションの操作も増えています。

それらすべてを自動化できる分、RPAはマクロをさらに進化させたものといえるでしょう。

共通する自動化範囲

RPAとマクロのどちらも、office製品に関わる部分は操作できます。office製品やそれに相当するプログラムを立ち上げるところから、データの加工・送受信まで、ある程度の作業は行なうことができます。

同じ作業を何度も繰り返すものは、自動化に向いています。もちろん、条件に合わせて処理内容を変えることもできますが、大量に条件分岐があると、その業務は自動化に適さない、または自動化できない業務になってしまいます。

自動化したい業務は、可能な限り共通項目を作っておきましょう。

共通するメリット

RPAとマクロに共通するメリットは、自動化により管理が簡素化され、ミスが防止できることです。人が作業すると、どうしてもオペレーションミスは生まれますが、RPAやマクロで一度自動化してしまえば、それ以降は基本的に間違いなく進みます。

さらに、その業務にかかるコスト削減も可能です。機械が速く正確に作業すると、それを担当するはずだった人の稼働時間の削減につながります。日々の稼働だけではなく、担当者が変更になった場合の引継ぎなど、人に関わる部分のコストも大きく削減できます。人がいない時間も自動で動くため、業務時間を短縮したとしても、既定の処理をすることができます。

RPAとマクロの違い

RPAとマクロの違いは大きく分けて3つです。どちらがより便利か、優れているかというよりは、やりたいことに適するのはどちらかという目線で検討するとよいでしょう。

RPAとマクロの違い1: プログラミング知識の必要性

マクロはVBAと呼ばれるプログラミング言語を使います。簡単な作業であれば、マクロの記録を使って、コーディングせずにマクロを書くことも可能ですが、ファイル操作などが含まれるレベルになるとVBAの理解が必要です。

規模が大きくなると単に正常に動くだけでは足りず、速く処理できるプログラムやメンテナンスしやすいプログラムのように別の要件が入ってきます。そのため、配慮すべきことが増え、自由度が高い分だけ難易度も上がります。

一方のRPAは、既存のテンプレートが用意されていたり、フローチャートがあったりします。図などを見ながら設定することが可能なので、プログラミング知識を必要としません。ITに詳しくない従業員でも、RPAであれば設定・管理ができます。

RPAとマクロの違い2: 担当範囲の広さ

RPAは、アプリケーションをまたぐ処理も自動化することが可能です。別のシステムから情報を持ってきて集計するといった処理になると、RPAのほうが向いているといえます。また、処理するデータが大量になることが想定される場合も、RPAはおすすめです。クライアント端末のレベルに依存せず、企業サーバーやクラウドサーバー上で動かすことができるタイプもあり、ハードリソースの制限をそれほど受けません。

それに対して、マクロはおもにofficeアプリケーションの操作をします。エクセルの帳票管理やワードの報告書などを自動で作る、提出するといった処理には向いていますが、使える範囲がある程度限定されてしまうのはVBAの性質上、仕方がありません。

RPAとマクロの違い3: コスト

RPAはメリットが多い分、システム自体の利用料がかかります。買い切り型の価格設定をしているところは減っており、サブスクリプション型やSaaSサービスの利用料のような形で、毎月定額を支払うところが多いです。システムを使い続ける限りはかかるコストなので、1ヵ月の支払いが高いと後々大変です。

しかし、RPAはITリテラシーが高くない人でも操作が可能なので、専用のエンジニアを置く必要がありません。人手もそれほど必要なく、人件費や開発費用を抑えられるでしょう。

一方、マクロの使用に必要な費用は、officeのライセンス費用のみです。officeが使える事務用の端末があれば、ライセンスに対する追加コストは不要です。ただし、ゼロからシステム開発する費用や、VBAの知識を持った開発、保守のためのエンジニアを雇うコストがかかります。

RPAとマクロ – どちらを導入するべきか

RPAとマクロのどちらを導入するかは、やりたいことができるか、人員状況、コストが大きなポイントとなります。

ただし、初期コスト以外の面ではRPAが圧倒的に有利なので、RPAのほうが良い可能性は高いです。

何がしたいのかで判断する

RPAは、大量データの処理など負荷の大きな作業を含めて、さまざまな作業を自動化できます。マクロはエクセルやワードの処理が中心となりますが、普段の業務でエクセル関数に使用しているような場合には、エクセルをそのまま使えるVBAのほうが自動化しやすいこともあります。

どちらを導入すれば良いかは、何がしたいのかで判断しましょう。その際は業務フローも意識して検討できると、自動化の範囲を広げることができるかもしれません。

今、自動化したい業務がエクセルのみだったとしても、実は後続業務まで含めてRPAで自動化できるケースもあります。自動化を導入する前に、下記のような点を踏まえて判断することが重要です。

人員状況

officeに頼っている業務はマクロを採用するのが一般的です。業務をそれほど変えず、導入に対する手間が増えないケースが多いからです。ただし、officeソフトを使う状況でも、VBAのプログラミングができなければ、マクロは向きません。

どうしてもマクロはVBAでのコーディングが必要です。VBAを扱える人がいても、その人が退職した際に、誰もメンテナンスできないマクロができあがってしまう可能性もあります。ある程度、安定的にVBAのわかるエンジニアを確保できる見通しがあるのなら、問題ありません。それが難しい場合は、マクロよりはRPAを導入する方向で検討を進めるほうが得策です。

コストでの判断

RPAを導入する場合は、月額利用料を払うような課金体系のところが多いです。そのため、RPAを社内に適用するための導入費用はもちろん、導入したあとも、ランニングコストが月額でかかり続けます。月額当たりの金額が高いと、年間でかなり高額なコストになりかねません。

一方マクロの場合、月額利用料は不要です。officeのライセンス費用は必要ですが、業務でofficeを使っていれば、大きなコストにはならないでしょう。それでも、保守運用は誰かが行なわなければなりません。社内でまかなうにしても、社内のエンジニアの稼働がかかります。社外に外注するのなら、外注先との保守契約に基づく金額が必要です。

RPAとマクロは役割が違う!併用も考えよう

RPAとマクロは、そもそもの役割と対応できる範囲が異なります。

例えばエクセル単体で完結する業務を自動化する場合、マクロのほうが適している場合があります。一方で複数のアプリケーションにまたがる作業を自動化したい場合はRPAのほうが適しています。

また、コスト面でもかなりの差があるので、用途、人員、コスト、運用期間などを総合的に判断してどちらを使うのか、あるいは併用するのかを考えましょう。

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