RPAの将来性は?RPAの課題と未来について

2020.11.20

2021.1.29

RPAはさまざまな使い方ができる反面、導入方法がわからないなどの理由で導入を躊躇する会社も多く、RPA開発の市場自体が発展していくかどうかの予想は難しいところです。

RPAは現在、すでに過渡期にあるとの意見と、まだ発展途上でこれから成熟していくであろうとみる意見の両方があり、どちらが正しいとも言い難い状況になっています。

ここではRPAに関する情報や、取り巻く状況とともに、RPAの将来について解説します。

RPAの将来性は?

RPA関連の市場について、矢野経済研究所の予想では、2018年度の国内RPA市場規模が418億円であるのに対し、2022年度は800億円を超えるとしています。

2018年度の予測では売上高の約3分の1がRPAツール製品、残りの約3分の2がRPA関連サービスという内訳になっています。以降、年度を重ねるごとにRPA関連サービスの割合が増え、2022年度予測では全体の約8割を占めるとされています。

RPA関連サービスは具体的に、RPA導入支援サービスから、RPA活用業務プロセス改善コンサルティングまで幅広い業務が含まれており、この予測された伸び率から、企業が何らかの形でRPAの導入、検討を進めていることがうかがえます。

特にどこの会社でも必要とされる人事や経理などの業務は、働き方改革の影響も受け、早い段階でRPA化される傾向にあります。

また、RPAを効率的に導入できる関連サービスも多数出てくることも考えられます。RPAにはまだまだ将来性あるといってよいでしょう。

RPAは幻滅期に

一方で、ガートナージャパン株式会社が発表した「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2020年」では、RPAは幻滅期に位置づけられています。

「日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2020年」とは、特に未来志向型のものや注目すべきテクノロジやサービスなどの認知度・成熟度に加え、各サービスが実際の課題解決や新たなチャンス開拓にどの程度期待できる可能性があるかを視覚的にまとめたものです。

RPAの位置する幻滅期は、過度な期待のピークが過ぎ、各社がしっかりメリット・デメリットを理解して、現実的な導入を検討していくフェーズであることを示します。

日本は世界3位の成長率

幻滅期に入ったRPAは、日本でも過度な期待なく現実的に導入を検討する会社が増えています。ガートナー社の調査でも日本の2018年の成長率は世界3位となっており、北アメリカ、西ヨーロッパに続いて導入が進んでいることが見てとれます。

これは働き方改革によるところが大きいと考えられます。長年課題となっていた長時間労働を改善するために、ロボットに業務を肩代わりさせ、業務量の削減や、人員不足への対応を行なってきました。

郊外へ移住して原則はリモートワークとし、必要に応じて出社するといったスタイルも、柔軟な働き方として認められつつあります。RPAでの業務自動化によって人が行なう作業量を減らすことで、こういった柔軟な働き方に対応する企業も多いです。

またRPA導入にともなって現行業務を見直した際、不要な業務が思いのほか出てきたため、そもそもの業務がスリム化されたケースもあります。

導入済み企業の満足度は高い

MM総研が2019年2月に発表した「RPA国内利用動向調査」によると、RPAを導入した企業の満足度は59%と高く、79%がさらなる利用拡大を志向しています。通常業務の自動化が進み、わかりやすい効果を示すことができたため、高い満足度につながったと推測されます。すぐ目に見える効果だけでなく、長時間労働の是正や、人材不足への対策になっているとの回答もあります。

長時間労働の是正は簡単にできるものではありません。新しい人を雇い、戦力になるまで教育するのにはやはり時間がかかります。一時的ではありますが教育をする分の時間と労力が必要なので、短期的に見れば稼働は増えてしまいます。

RPAも導入時に時間と労力がかかりますが、導入後は簡単な業務を自動化、効率化が可能で長時間労働を是正できます。開発・運用の簡単なRPAなら導入にもそれほど時間をかけず、効果が得られるでしょう。単純な作業はRPAに任せ、よりアイデアが求められる作業に人員を回せるので、従業員はやりがいを持って業務にあたることができます。

RPAの将来

総務省によると、RPAには大きく分けて3段階の自動化レベルがあり、現状の日本では、情報取得や入力作業、検証作業など定型業務に対応したクラス1の段階にあるとされています。

クラス2への移行

クラス2の段階は「一部非定型業務の自動化」とされており、音声や画像の解析、マシーンラーニング技術の搭載などがこのクラスに当てはまります。

クラス1の段階では定型業務しか自動化できなかったところを、AIと組み合わせることで非定型業務にまで適用範囲を広げることでクラス2へ移行します。

具体的にいえば、クラス1では申請書自体のフォーマットがそろっていなければ処理できなかったのが、クラス2になれば申請書のなかから決められた項目を拾い出して入力することができるのです。

また、レベル2では、非構造化データを扱うことができるので、例えば口座振替依頼書など、バラバラのフォーマットで届く書類の内容を自動入力するといったやや複雑な業務も実現可能になります。

あくまでも一例ですが、非定型業務へ対応範囲が広がると、今まで人の手でしかできないと思われていた業務まで自動化することが可能となります。RPAの使い勝手は一気に良くなり、各所への普及が一層進むであろうと考えられます。

運用工数の低下

RPAを導入する企業は増えているものの、大規模プロジェクトや複雑な要件が求められる案件では、専門のRPAエンジニアなどが必要になる場合があります。とはいえ、RPAエンジニアはそもそも人材が少なく、リソース確保が難しい場合も少なくありません。

しかし、RPAのこうした課題は、ある程度AIを組み合わせることでカバーできることもあります。例えば、RPA化に適した業務の洗い出しをAIに任せるといった動きもあるのです。

ある程度の洗い出しをAIに行なってもらい、人が引き継ぐといった分担にしておけば、AIの精度がそれほど高くなくても十分業務の効率化は可能です。このように、RPAの導入や運用自体もAIでまかなうことができれば、工数も削減することができるでしょう。

RPAはまだまだ将来性が高い!

RPAはこれから普及していくと考えられている技術ですが、クラス1のような定型業務だけでは対応しきれないこともあるでしょう。近年の働き方改革や柔軟な働き方に対応しながら企業の生産性・作業効率を向上させていくためには、RPA自体も進化し、より大規模で複雑な業務に適用できることが重要になってくるといえます。

非定型業務が自動化できるクラス2へ発展すれば、RPA化できる業務の幅は相当広がりますが、それでも自動化できるのは一部の作業です。自律して意思決定や自然言語処理を行なうクラス3への移行を目指すことで、より自動化の恩恵を受けながら、さらなる業務の効率化が図れるでしょう。

デジタルワークスブログ編集室

デジタルワークスブログ編集室

デジタルワークスブログは、株式会社デジタルワークスが運営している「デジタライゼーション」をテーマにしたお役立ち情報を発信しているサイトです。

デジタルワークスブログ編集室は、株式会社デジタルワークスの社員により執筆・運営しています。 DXやデジタライゼーションに関するお役立ち情報を発信しています。

あなたにおすすめの記事

よく読まれている記事

この記事を見た人はこんな記事も見ています